「とこしずめのまつり」「地まつり」とも言う地鎮祭。これからの工事の無事と家運の隆盛を祈願するだけでなく、この地に縁あって住まうことになる挨拶と感謝の念を表明するための儀式である。建物の無事完成を神々に報告し、建物と建て主の無事・繁栄を祈願する竣工式。その間に執り行うのが上棟式、棟上げだ。棟木を棟に上げる段階になった時、建物の守護神と工匠の神にこれまでの工事の無事を感謝し、竣工までの加護と建物がとこしえに堅固であることを祈願する儀式のことである。祈願だけでなく、感謝が先行することがポイントで、格式のみで形骸化した儀式では意味がない。すでに「棟」については説明しているから、繰り返しは避けるが、棟が上がって初めて、建物の構造体としての仕組みが完成する。後は内外の仕上げ工事、建具・造作工事、屋根工事などの仕上げ工事や設備工事が続く。そして竣工となる。「棟を上げる」とは、棟木を上げるということで、桧の板に墨書きした棟札を麻苧(麻糸のこと)などで棟木に南向きに取り付ける。棟札表面には祭神名、趣旨名、地名、家屋名などを、裏面には上棟の年月日、神職名、建築主や工事関係者名を記入する。後世に残る記録だ。餅や硬貨を集まった近所の人たちにばらまく。これを拾うのが子ども達の楽しみで、あっちで上棟式があるぞと聞けば、大急ぎで出かけた。楽しみがあまりなかった、ひと昔もふた昔も前の話である。
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